ファストハイキングは、単に歩く速度を上げたハイキングではありません。速く歩くことで、地形への注意の向け方、水分の管理、筋肉の疲労、判断に使える余裕が変わります。無理なく上達するには、まず歩き慣れたルートで、下りや暑いとき、風が強まったときにも維持できるペースをつかむことが大切です。
変える要素は一度にひとつ
距離、標高差、速度、技術的な難易度を同時に上げると、何が本当の疲労の原因なのか見えにくくなります。まずは慣れた地形を選び、必要な装備を残しながらザックを軽くして、回復にかかる時間を確認しましょう。下りで足運びが不安定になったり、定期的に補給できなくなったりしたら、その山行にはすでにペースが速すぎます。
平均速度だけではわからないこと
平均速度には、休憩や登り、道迷いの時間も含まれます。それよりも、冷静な判断を保てているかに目を向けましょう。進むラインを選ぶ、喉が渇く前に水を飲む、状況が変わったら引き-返す。こうした意識は、時計に表示される数値よりも役立ちます。
途中で切り上げられるルートを選ぶ
初めのうちは、エスケープルートがあり、地図で地形や道を明確に把握でき、転落などの危険にさらされる区間が少ない周回ルートを選びましょう。短いルートが、短時間で歩けるとは限りません。風の強い稜線、滑りやすい登山道、足場の不安定なトラバースでは、大幅にペースが落ちることもあります。途中で切り上げても満足できる短縮プランを用意しておきましょう。
下りの負荷も計画に入れる
登りでは、比較的ペースを調整しやすいものです。一方、下りでは体への衝撃や集中力の消耗が早く現れます。正確な足運びができなくなる前に速度を落とせば、関節を守り、ペース配分の失敗を危険な行動で取り戻そうとすることも避けられます。
荷物は少なく、必需品は取り出しやすく
軽量化とは、自力で行動するための装備を削ることではありません。保温着、防風・防雨用のウェア、水、予備の行動食、充電済みの携帯電話、見やすい地図やナビゲーション手段は、短い山行でも役立ちます。休憩中に時間をかけたり体を冷やしたりせず取り出せるよう、ザックの中を整理しましょう。
- 行動時間を延ばす前に、短い時間でペースを試す。
- 水分と食べ物を、少量ずつこまめに補給する。
- 暑すぎたり寒すぎたりする前に、着用するレイヤーを調整する。
- 周回ルートでも、引き-返す時刻を決めておく。
- 正確な足運びが求められる地形では、ペースを上げない。
速さと焦りを混同せず、持久力を育てる
ファストハイキングも、山でのアクティビティです。最終的な判断を左右するのは、天候、登山道の状態、視界です。一度だけ極端に長く歩くのではなく、余裕を持って終えられる山行を重ねて力をつけましょう。歩き終えたあとも、その日の行動を冷静に振り返る余裕があれば、自分に合った取り組み方ができている証拠です。
